山口椿 「枕絵」
2003年4月4日(金)- 4月26日(土)
4月4日金曜日から作家、チェリストとしても知られる、山口椿による「枕絵」展を 開催する運びと成りました旨、ここに慎んで御案内申し上げる次第です。
国宝 鳳凰堂は十一世紀建立の平等院にある。修理のために解体すると、構造の裏から性画が現れる唐招堤寺の仏像台座の裏からも性画が出てきた。
私達の先祖は性を自然の根源の力として捉え、その人知を超えた力を信仰に昇華させた。
性は神習う行動である故に、明るく清らかなものであった。
こうした思想のもとで、性画は祈りや祓いの役割を持つ。恒常の願い、魔除けの呪力が性にあると信じたからであった。
勝絵(かちえ)も十一世紀に現れた性画で、力箪笥や鎧櫃に入れ、魔を祓った。
春画を嫁入り枕とも呼ぶ。嫁入り道具を浄化するためであった。
巨きく描かれた性器は、非現実的で、性欲を減退させる。ギリシャ彫刻が男性器を、 ほぼ半分の大きさに表現したことに対比する。
さらに下って、通と呼ばれる人達が、羽織裏や屏風に妖怪変化を描かせたのも、侵入 して来かねない魔を逆に脅す意味があった。
一九九八年ニューヨーク、メトロポリタン美術館は、歌磨春画を公開し、未成年の観察を拒まなかった。同様に、二〇〇一年京都国立博物館も春画を展覧、学芸課長はマスコミに対し、文化は猥褻とは違うと公言した。
ここに展示するものは、いずれも出典のあるもので、山口椿の手になるアンテルプレットとなる。
-山口 椿
山口 椿 (やまぐち つばき)
1931 神田三崎町に生まれる。
1959 ピエール・ギュモン国際コンクール銀賞
1970 レニングラード・キーロフ劇場の委嘱でエトワールの等身肖像画連作を製作
著書
1986 枕絵集「香のかほり」
1992 夜想「枕絵」
1995 「艶色江戸川柳」 河出文庫
1996 「エロスの館」 河出文庫
「サドの館」 河出文庫
「好色江戸川柳」 河出文庫
また、日時を重ねて成山画廊が出展する国際コンテンポラリー・アートフェスティバルでは「お化け、化け物にまつわる」展示を致します。
昭和時代より前の日本では現代より、お化け、化け物の扱いに注目すべき美学がありました。 主人の留守中、厄除の為にお化けの掛け軸を床の間に掛けたり、噺家が出世を願って羽織の裏に幽霊の絵を描かせたり、座敷童子が住み着いた家は
栄えるという言い伝えなど、縁起の良い風習にしばしば用いられていました。
主な出品作品は、山口椿による幽霊、化け物を描いた着物、帯、羽織、染色を久保田一竹工房で腕を磨いた羽渕祐宏が担当し、江戸前の色を再現しています。シャーロック・ホームズで知られるコナン・ドイル旧蔵の心霊写真や、無気味な仕掛けの壁掛け時計。昨年四月に成山画廊で御紹介致しましたディミトリィ・ホルタによる「女性の美しさに秘められた反面を、怪物化」した油絵の新作など多方面から集められた力で、綺麗で、悲しく、何故かエレガンスを感じさせる霊的な物事のパワーを探究した展示となり、皆様に楽しんで頂けると確信しております。
皆様お誘い合わせのうえ、お出かけ頂けます様、伏してお願い申し上げます。
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第七回 国際コンテンポラリー アートフェスティバル
2003 TOKYO
開催期間:2003年4月4日(金)- 4月7日 (月)
10:00~20:00(最終日17:00まで)
会場:東京国際フォーラム (JR有楽町駅徒歩1分)
出品作家:
山口 椿、ディミトリィ・ホルタ、コナン・ドイル旧蔵心霊写真 他
http://www.nicaf.com/
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