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パスカル・モーマン   「 スピード ペインティング 」

2013年10月4日 - 10月19日




Akimitsu, 2013, Oil on canvas, 25×25cm


成山画廊がこの度ご紹介致しますアーティストは画家、パスカル・モールマンです。モーマンはオランダに生まれ、現在チューリッヒを拠点に繊細な肖像画の制作を世界各地で行っていますが、成山画廊では彼の別の側面である、フォトセッションの要素を含むスピ−ドペインティングに注目しています。モーマンが来日し、皆様の肖像画の注文を承り、描き、展示致します。また、今展では諏訪敦、松井冬子といったアーティストの肖像画も描きます。




「パスカル・モールマンによる肖像画について」

モナリザ、ネフェルティティの胸像、ヴェラスケス、ダヴィッド、レンブランド、ルシアン・フロイドと、名前を挙げてもきりがないが、対象が著名人であれ無名の人間であれ、太古の昔から肖像画というものは鑑賞者を魅了する。それはもしかして自分が好きなポートレートの中に必ず自分の端くれみたいなものを発見できるからではないだろうか。しかし、もし自分自身が実際にその対象、つまり肖像画になった場合はどうなるのであろうか。なるだけ現実に近い形,あるいは美しい形で描いてもらう事が望ましくなるのか。あるいは肖像画の中に紛れもない自分自身を見つけられる事が重要になるのではないか。前に出会った事もない、初対面の自分を発見する事もできるのかもしれない。

油絵画家パスカル・モールマンのシリーズ『ギャラリー オブ イディオッツ』では、その要素がたっぷりある。彼はモデルにモデルが自分で選んだしかめっ面をさせる。彼が画家としてシャッターを押すのではなく,モデルにその瞬間を選ばせる。ある意味で親密感あふれるアーティストとモデルの合作なのであるが、従来の理想の美しさからは遠く離れたものである。しかも普通はしかめっ面など一瞬の出来事である為、顔面筋肉がすぐに痛くなる。全てが速く行かなくてはならない。強い,荒いブラシストロークと巨匠にも劣らない技術を使い、モールマンは30分以内で肖像画をキャンバスに叩きつけるかの様に描く。しかもそのダイナミズムの中に繊細さが含まれる矛盾が魅力の一つと言えよう。モールマンはモデルの一番奥にある『何か』を表面に取り出す事ができる。神隠しにも近い程にモールマンは人間の外構え(ファサード)を超え、一瞬魂にふれ、その瞬間をキャプチャーする事ができるのである。時にはそれがあまりにも的をついていて、新しい自分自身の一面に出会ったような気分になる。
     
                 -アンナ・フォン・センガー  (ジャーナリスト)





パスカル・モールマン(Pascal Mohlmann)は1969年にオランダのヒルベルスムに生まれる。 ユトレヒトの Hogeschool voor de Kunsten で学び、その後 Amesterdam Institute of Paintings の招待でJurriaan van Hallの元でマスタークラスを獲得。2006年よりチューリッヒに在住し活動する。



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