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長谷川サダオ  Linga

2008年12月1日 - 12月20日


長谷川サダオ氏といえば、日本では一部のゲイ雑誌で断続的に紹介されてきた事を除けば、生前の作品集『楽園幻視』 (1996年コチスタジオ刊)がわずかに残されているに過ぎません。この事は、イギリスでは豪華作品集が刊行され、アメリカでは『インスタイル』誌の挿画を、ヨーロッパでは美術書のカバーを依頼され、『OG』誌や『ブルー』誌などでは大きな特集が組まれた氏をめぐる海外での高い評価とは全く裏腹な、我が国における認知度の不当かつ圧倒的な低さを思い描かせて余りあり、かかる不均衡はもはや黙過しがたいとすら申し上げずにはいられない次第です。

しかしながら、むしろ氏の絵画が日本でこそ高い訴求力を獲得しうるように思われるのは、江戸期春画の系譜的表現ともいうべき誇張された男性器や細密な毛髪の描写、そこはかとない悲哀と後ろ暗さを逞しい肉体の裡に秘め隠している無垢な青年達の表情、そして近年になってから夥しい引用で飾られるに至った東南アジア文化圏のモティーフの数々を介してその緻密でエロティックな画面に立ちこめた極致の「濃度」ゆえであって、それが日本的風土に根ざしつつ極立った独自化を成し遂げた点にこそ、氏の作品の興味の尽きない魅力があると私共は確信致します。まさしく真摯な評価が待たれてやまない「未来」の作家、それが長谷川サダオ氏なのです。





長谷川サダオ履歴

1950年代 東海地方に生まれる。独学で絵を書き始める。
1973 流行の発信地であった渋谷西武百貨店Be-Inにて「長谷川サダオの錬金術−1973年のための冥想」展を開く。ジャンルを超えて雑誌等に油彩画、コラージュ、ドローイング、人形を発表。
1990 イギリスG.M.P社より画集[SADAO HASEGAWA]を刊行、世界中からの展覧会の誘いを作品を国外に出したくないという考えから断りインドネシア、タイランド等アジア諸国を放浪。
1996 オリエンタルなエロティックを表現したドローイング集「楽園幻視」をコチスタジオより刊行。
1999 タイランド、バンコックにて客死。
2000 生前のメモを発見した遺族からの依頼で成山画廊での展覧会「リンガ」が開かれる。


2002 スイスAusstellung美術館「TATOO」展に、メープル・ソープ、ギーガー等と共に展示される。




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