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土屋仁応 「重陽」 

2005年9月9日(金)- 9月30日(金)


 新人、土屋仁応が想像の中で産み出した新しい品種の菊は、刻々と変化する天象を自らの花弁で体現し、鹿は静かな湖を水色の瞳に映し出しています。

 動植物を人為淘汰し、自然には無い姿をつくり出すことは世界中で行われてきましたが、中でも日本においては、観賞し愛玩することを目的にした品種改良が古くから盛んに行われてきました。完成した独特の姿が伝統として受け継がれ、また一方で途絶え消えて行きました。

 改良品種に惹かれている土屋は、人の手なしでは生きられない、不自然でぎこちない身体の宿命はむしろ惨めではなく、逆に人の手を嘲笑うかのような艶やかな力強さを持っていると考えています。

「弱い生き物の姿を借りて現れている、人間を超えた力」を表すことに長けた彼の彫刻はまさに静謐な佇まいで人を寄せつけない神々しさを備えています。

 文化財保存学彫刻科にて古典技法を研究しているこの彫刻家の、独特な、微妙にアンバランスな形の美しさを、多くの方に御覧頂きたく、暑さの鎮まった9月は九段に是非是非お出かけ頂けます様、お願い申し上げます。





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