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林良文
反エントロピー
7/16 - 8/6




反エントロピー

「エントロピー」とは物理学用語で、熱力学の第二法則から作り(?)出されたもので、自然は放っておくと乱雑な運動を呈するという現象だ。例えば街中の公園は放っておくと紙屑やペットボトル等が散在して乱雑な状態になるようなものだ。そしてこの乱雑さを解消して秩序ある状態に回復させる為には掃除をしなくてはならない。この掃除という作用を加えることを自由エネルギーを作用させると説明する。ある物理学者はこのエネルギーと自由エネルギーの相関関係を微積分の数式で表した。私はこの数式は分からないし、また全然信用してもいない。というのはこの宇宙の自然界にはそもそも乱雑な運動などは有り得ないからだ。単的に説明しよう。我々の地球は数十億年にもわたって太陽の回りを絶妙に定まった軌道をたどって回転し続けている。いや地球の軌道だけではない。太陽系を想い描いてみよう。何という「秩序の体系」なのだろう!自然は乱雑になろうとしているのではなく、秩序を保とうとしているのだ。だからエントロピーなどという思い付き自体、人間のエントロピー的作り話なのだ。しかしエントロピーは実在する。人間は原爆やヘロインを作り出し、また次々と戦争の止む事が無い。原爆やヘロインや戦争は正にエントロピーの結晶であり、それを作るのは自然ではなく「人間」なのだ。人間こそ恐るべきエントロピーの塊なのだ。私の絵画製作は「美」への表現では無い。私の絵画製作は自己の内部に巣食うエントロピーを掃除して「秩序」を「再構築」することにある。

- 林良文



1948年 福岡県に生まれる。
1972年 東京、中央大学哲学科中退。
1974年 単身で渡仏。以来パリ在住。
1976年 独学で鉛筆デッサンを始める。
1978年 パリ/ジャック・カザノヴァ・ギャラリーで初個展。
2019年 個展「変化の二乗」 成山画廊
2020年 個展「THALES」 成山画廊